2016年2月25日木曜日

3)資産用ダイヤモンド~確実に入手するには

資産としてのダイヤモンドを確実に入手する、簡単そうで難しい問題です。
それでは、これからその方法についてお話していくことにします。

今まで、紹介してきました世界でも稀な超高額のダイヤモンドだけが資産用というわけではありません。
ダイヤモンドであれば、どのようなものであれ、市場価値があり、しかも確実に値上がりを続けています。
だからといって、どのようなものでも資産になるのか、というとそれも違います。
そこに希少性という要素が大きく関わってこなければなりません。
0.50カラット或いは1.00カラットのダイヤモンドを所有していたとします。品質は、Gカラー、VS2,エクセレントカット。
このダイヤモンドは10年前に購入し時より数十%は値上がりしていることでしょう。
仮にこれを手放そうと考えた時、果たして今の市場価格ですぐに買い手が現れるでしょうか?
しかも、購入した場所は一般の小売専門店やデパートであった場合 、手放す時には購入価格を大きく下回ることになるのが通例です。
もちろん個人的に欲しい方に譲る場合は、今の一般小売価格より安くしてもそれなりの対価を得ることはできるかもしれませんが、そのような不確実な前提では、資産用ダイヤモンドとは言えませんね。
更に、先ほど既述したような品質であれば、代替え品は数多く市場にあり、希少性という観点からも全く魅力はありません。
では、どんなダイヤモンドが資産用としての特質を備えているのか?
逆にいえば、どのようなダイヤモンドを購入すれば良いのか・、ということになります。

何といっても大前提は、「希少性」と「美しさ」の2点の条件を満たしていることです。

では、どんなものが望ましいのかというと、

*資産用ダイヤモンドとしての備えるべき条件
1)重量 1.00カラット以上
2)Dカラー
3)FlawlessまたはInternally Flawless
4)Excellent またはVery good cut(Round Brilliant cutの場合)
5)透明度の高いもの(TypeⅡaのような)
6)蛍光性を持たないこと
7)GIAによる品質分析(鑑定書)証明があるもの
という条件が必要となります。

つまり高品質であり、非常に希少性があり、その品質が信頼できる第3者の品質分析を得ている、ということになります。

これで、どんなダイヤモンドを所有すれば良いのか、ということはお分り頂けたと思います。
では、このようなダイヤモンドをどこで購入するのか、言いかえればどのようにしたら入手できるのか、という問題になります。

*入手方法  


「資産用としてのダイヤモンドを購入するということは、通常の手段では難しい」

ダイヤモンドといえば、一般の方が目にするのは金やプラチナなどの貴金属を使用してデザインされたジュエリー=リングやペンダント、ピアスなど=です。
資産用として保有するには出来る限り、これらジュエリーに加工されたものでない、ダイヤモンドのみのもの=専門家や業者の間ではこのことを、裸石、あるいはルース(Loose stone)といいます=が望まれます。なぜならば、貴金属やジュエリーにする為の加工費などが含まれないダイヤモンド本体のみの価格であるからです。
このルースを入手する、というのは簡単そうですが、一般の方には難しいことと思われます。
なぜなら、デパートや専門店に行ってもルースを展示して販売しているところはないからです。
日本でいえば、東京の御徒町の業者向け卸取引専門の店舗などに行けば、見ることはできるでしょう。
友人や知り合いに頼んで、そのような卸専門の店から購入することもできるかもしれません。
しかし、資産用としての資質を備えたダイヤモンドとなると、御徒町といえども、どこにでもある、というわけにはいきません。
高額になる為に在庫として保有する、ということも資金的に難しいこと が最大のネックとなるからです。
 私の経験をお話しましょう。
長いダイヤモンドビジネスの中で、年に1度ならず大きなダイヤモンド、例えば5カラットのDカラーのダイヤモンドが無いか、というような問い合わせが取引先のA商社から来ます。ほどなくしてB商社からも同様な問い合わせが来ます。仲間のダイヤモンド専門業者からも同じような話が聞こえてきます。調べてみるとどうも話の出所は1ヶ所で某有名なデパートであったり一流専門店であることが分ります。
つまり、一人の購入希望者の話が回りまわってあちこちの商社経由でその取引先である我々のようなダイヤモンド専門業者にでまわる、ということになるのです、ひとつの注文が100個もの注文のような様相を呈してしまうのです。国内にはないが香港にある、とかアントワープにあるとか、話は国際的になることもあります。
要するに何を言いたいかというと、このような高額なダイヤモンドを自己の在庫として保有する、或いは出来るような資金的な余裕のある企業はほとんどといって過言でないほど無いのです。
ダイヤモンド専門の業者にとっては、非常に低いマージンしか望めない、場合によっては為替差損さえ出かねない競争下、いかにして資金を高回転させ、利益を確保するか、ということで精いっぱいですし、小売店にしても1つで○千万円にもなるものを在庫するほどの余裕はありません。それよりも低価格の商品を高回転で販売することで日々の経営の安定をかんがえることでせいいっぱいなのですから。
また、小売段階においては、どこも商社からの受託品=商社が商品を小売店に委託して販売してもらう方式=を活用することにより、在庫負担を抑え、在庫負担を軽くすることが多いのです。
商社は売ってもらわなければ、営業成績が上がりませんので、売れ筋の商品しか作りません。そうなると資金を食い、万人向けでない高額なものについては在庫するなどという冒険はできない、ということになるのです。

 大手商社が取引先の小売店の上顧客を招待してホテルなどで豪華な展示即売会を行っていますが、このときはまさに素晴らしい商品が展示され消費者の目を奪います。
一流ブランド、国内外の著名なジュエリーデザイナーの作品、海外から保税で取り寄せた高額なジュエリーなどです。
では、これらの商品はいつもこの商社が在庫しているものでしょうか?
はっきり言えば、そのほとんどは”借り物”といってよいでしょう。
大手商社の持つ信用力と販売ネットワークにより、販売先を探しているブランドやデザイナー、などなどが喜んで出品に協力するという訳です。
小売店にしても、日ごろ自分の店では見せられないような素晴らしい商品を顧客に紹介ー出来れば購入してもらうー出来るビッグチャンスですからーしかも在庫リスク無しでー大いに利用するということになります。
お客様は展示会の豪華な飾り付けや演出、商品、ホテルの食事などに
大いに満足し、その対価として何かしらの商品を購入して帰る、ということになります。 利益もしっかり価格に乗っていますが、経費も莫大にかかります。経費以上に利益が出れば誰もが満足するシステムといえます。

話が少し横にそれたような気もしますが、言いたいことは資産用としてのダイヤモンドを購入するということは、通常の手段では難しいということなのです。
では、どうすれば良いのか。

1)ダイヤモンド流通の出来るだけ川上の価格で購入すること

  ダイヤモンドの流通は以下のようになります。
   ダイヤモンド鉱山(Mine)ーー原石流通業者(Rough stone)ーー
研磨石業者(Polish)--ダイヤモンド専門商社(Dealer)--輸入業者ーー卸ーー小売店ーー一般消費者
これらの複雑なネットワークは永年の間に培われた経験をもとに構築されたものですので、中々この流れを変えるのは難しいのですが、近年では、DeBeersのような鉱山を所有している会社が直接小売まで行う、あるいは、研磨業者が直接小売店を展開する事例もでてきました。
 例外はあれ、肝心なことは、この流通のどこの段階の価格で購入するかです。
私たちが可能性があるのは、、このうちの研磨業者や専門商社ということになります。
いずれも、海外の会社となります。
ベルギーのアントワープ、イスラエルのテルアビブ、アメリカのニューヨーク、インドのムンバイ、ということになるでしょう。場合によっては香港やドバイなども入るでしょう。
これら各国にあるダイヤモンド取引所内にある信頼できる商社の協力を得て購入=輸入する方法です。
つまり日々刻々変化するダイヤモンド市場の業者取引価格で購入することが肝心です。
RapaportのチャートやWeekly reportを見るまでもなく、ダイヤモンド価格は日々変化しています。常に需給バランスと原石の価格動向、為替や国際情勢により0~3%ほどの変化をするのが常です。
ダイヤモンド輸入業者はそれらの 状況を見ながら、国内の取引先の要望する価格と照らし合わせながらダイヤモンドの買い付けを行うのです。時には顧客の要望や資金繰りの状況により、仕入れ価格が販売価格になることもあるでしょう、かろうじてその時点で為替が円高になり、それが唯一の利益というようなこともありますし、その逆も起こります。
この価格より安く購入するというのは、普通では出来ません。
原石の取引は莫大な資金力と特別な知識経験が必要であり、そこに参加できる業者も限られてくるからです。

2)どうしたら川上で買うことができるか

 誰もがベルギーやイスラエルのダイヤモンド取引所に行き、ダイヤを買うことなど出来ません。
ましてダイヤモンドをビジネスとし、ベルギーやイスラエルの取引所会員から招待状が無ければ中に入ることも出来ません。
仮に入ることが出来たとしても、どこで売ってくれるのか、どうしたら望み通りのダイヤモンドが手に入るのか、それが本当にいうような品質なのか、価格は適切なのか、そのほか云々・・・判断もつきませんね。

3)Gemologist Consultant(ジェモロジスト コンサルタント)の役割

 今まで述べたことを実現する為に役に立つ存在としてあるのが、Gemologist Consultantと呼ばれる人たちです(わたしもその一人ですが)。
有名なオークションでの入札や、高額なジュエリーなどを購入する際には必ずと言ってよいほどこのGemologiste Consultantが関わっています。品質はどうか、価格はどうか、などをこの専門家のアドバイスを得て入札に参加、購入の決定をするのです。
当然ながら手放す時にも同様に様々なアドバイスを得るのが通例です。
欧米では昔から一般的ですが、このGemologiste Consultantは、宝石に関する専門知識と豊富な技術経験を持ち、宝石やジュエリーに関してその専門の鑑識眼を生かして、主にジュエリーをビジネスとしている会社を始め、一般の方にも適切なアドバイスや援助を行う職業の人を言います。
当然ながら、大学の研究者とは違い、実際の市場の動向や取引の実情に見識ををもっていなければなりません。
また、販売することが目的ではない為に、自分のコレクション以外には販売する為の「在庫」は持たないのが原則です。
それはつまり、常に第3者としての公正性を持つ為です。
このビジネスは莫大な資金力を必要とします。企業はどうしても銀行などからの借り入れに頼らざるを得ません。在庫を持つということは金る負担が発生するということになります。一刻も早く販売し、利益を出し、資金を回収して次の商材=ダイヤモンド=を仕入れなければ、成り立ちません。当然ながら在庫を販売するというのが最優先の課題になります。
もし、Aさんが予算はこのくらいでこんなダイヤモンドが欲しい、と言ったとします。それを聞いた業者さんが要望のような商品を持っていれば良いのですが、無い場合は出来れば自分が在庫しているなかで、出来るだけ要望に近いものを勧めてくるでしょう。その方が色々と都合が良いからであって、決してAさんの為ではありません。
このように在庫を持っていると顧客の要望を全面的に聞き入れる公正性という点で危惧を生じる危険があるため、Gemologist Consultantは販売の為の在庫は持ちません。常に客観性と公正性を持って顧客の要望に100%応えるためです。

4)具体的にどのような流れになるのか

A) おおよその投下する予算を決める、或いは所有したいダイヤモンド を決める。
B) 信頼できるコンサルタントに相談する。
C) 要望を伝え、具体的な情報やアドバイスを得て、購入を依頼する。
D) コンサルタントは依頼に応じて、海外の商社に連絡。必要な場合は
現地に赴き、詳細な確認を行う。顧客が同行する場合もあります。
顧客の要望を十分に満たすことを確認したうえで、必要なデータを顧  客に連絡し、購入の承認を得る。
E) コンサルタントは自分の会社宛に該当のダイヤモンドの輸出を依頼する。=輸入代行
F) 顧客は、コンサルタントの会社にダイヤモンドの輸入代金及び輸入経費分を振り込む。
G) 現品が到着後、顧客はダイヤモンドを確認したうえで、所定の経費(実費精算)と手数料をコンサルティングに対し支払いをして、ダイ   ヤモンドを受け取る。

というのが基本的な流れになります。
価格の透明性、国債市場取引価格であることから、手数料や経費などの負担はすぐに取り戻せることになります。

 ダイヤモンドは短期的な投資商品ではありませんので、あくまで資産保全のひとつの手段として考えることが重要です。
もちろん長期保有が大前提となります。長期的には大きな利ザヤも期待できる手堅い資産となることはいままでお伝えしてきた過去の記事をご覧いただければ十分に納得されることでしょう。
しかも携帯性や秘匿性に優れ、品質が不変であるという優れた特質は他にはありません。欧米にはこのようなダイヤモンドを扱うコンサルティング会社は沢山あります。いざという時にはどこに行っても相談出来るという安心感もあります。

 金融が崩壊し、経済が破綻し、このブログでも言及したようにいつ戦争がおこり、ハイパーインフレ、資産凍結、預金凍結、銀行倒産などの事態が起きてもおかしくない状況に世界は進んでいます。
現金も金融商品も不動産も預金(海外の預金も含めて)一瞬で失う事態は過去に起きたのです。
一部の資産をダイヤモンドにというのは、世界の超セレブの例を見るまでもなく、賢い選択肢と思います。