前回は一般的なダイヤモンドの流通と価格などについてご紹介しました。
今回は、サザビーズなどのオークションに出品、落札される「超」希少なダイヤモンドについて、です。
昨年、サザビーズのオークションに出品され、香港の大富豪ジョセフ・ラウ氏が4850万USドル(今の為替で円換算すると56億7450万円)で落札した「ブルームーン」という12.03カラットのブルーダイヤモンドはどこで採掘され、どのような経過でラウ氏の手許に落ち着くことになったのか。
この1カラット当たり史上最高金額になったブルーダイヤモンドは、南アフリカのカリナン鉱山(Cullinann mine)で発見されました。原石の重量は29.62カラット。
鉱山会社が限定された業者のみ公開するオークションが2014年の2月に行われ、Cora International という会社が2560万ドルUSドルで購入したのです。
1)購入する前の最初にすることは、原石をチェックすることです。サイズを測ること、色の度合いや分布などを調べることが主な内容です。原石の専門家が要する時間はおよそ30分ほど。
その後はこの原石からどの程度の大きさ、形、品質のダイヤモンドが仕上がるかを詳細に検討します。
研磨された時のプロポーション、色、透明度、もちろん重量をシュミレーションし、その市場価値をはじき出します。その為に本物の原石と同じレプリカを12個作成し、実際にカットしてみたりしました。
そして、購入してから5ヶ月の間あらゆる可能性に対し激論がかわされ、ついに結論が出たのです。そして生まれたのがCushion cut, Internally Flawless, Vivid Blue という最高のダイヤモンドが誕生したのです。それは[BLUE MOON]と名付けられたのです。
2)Cora Internationalが試算した原石のBid価格(競り価格)ですが、最初は2200~3200万USドル、最終的には2550万ドルとなりました。
情報によれば4000万ドルを下回る価格までなると予想されました。
3)問題はいくらで販売できるのか?ということです。当初は4000~4500万USドル(46億8千万~52億6500万円)と予測されましたが、結果的にはそれを上回る4850万ドルで落札されたのです。
落札したラウ氏の12歳の末っ子のジョセフィーヌの名前をつけ、ダイヤモンドは「ジョセフィーヌ ブルームーン」と名付けられたのです。
このダイヤモンドは、他の希少なダイヤモンドとともにジョセフィーヌに送られたということは以前ご紹介した通りです。
Cora InternationalでこのBlue Moonダイヤモンドに関わった全ての専門家は、言っています。
「このダイヤモンドに関われたことを非常に誇りに思う。一体これほどのダイヤモンドを手にする機会がどれほどあるのだろうか? おそらく2度とこのような機会はないだろう」
以上、詳しいカットの様子などは省き、Blue Moon Diamondのエピソード概略をご紹介しました。
このようにして希少なダイヤモンドは、しかるべきルートでしかるべき人の所有物になるということがご理解いただけると思います。
もちろん、これだけがすべてではありませんが、非常に端的な例としてご紹介しました。
ここで大事なポイントは幾つかあります。
このようなスーパーレアストーンの流通は、通常のダイヤモンドとは全く異なる、という点です。
1)ほんの一部の関係者のみが目にすることが出来、
2)ダイレクトに最終所有者の手に渡ることにより、
3)通常の流通ルートにある、業者や一般人の目に触れる機会は全くない、ということです。
*鉱山会社はしかるべく資金力と信用、そして知識技術をもつ会社を選択して、指定した日に原石を開示します。
*選ばれた会社は、原石の品質や研磨後の価値などを検討し、どういう販路が最も適切化を議論し、決定します。
今回の場合は、サザビーズのオークションに出品する、という選択をくだしました。
*サザビーズの専門家はこの品を厳密にチェックし、永年の経験とオークション実績、現在の経済状況などに基づき、適切な予想落札価格を弾きだします。
そして、自社の媒体を通じて広報するとともに、有力な顧客に連絡をします。
このようにして、オークションが行われる、というわけです。
勿論、品質の鑑定には、GIA(Gemological Institute of America)による最も信頼度の高い品質チェックが必須となります。
そして、全ての段階においてそれぞれのエキスパートが関わり、落札においても同様に
プロの助言が非常に大事なこととなるのです。
落札者(最終所有者)は、オークション会社に支払う手数料、アドバイザーとしてのGemologist Consultant に支払う手数料や諸費用が別途必要となるので、実際には
落札金額+??% のお金がかかることになります。
さあ、それでは次回いよいよ安全かつ確実な資産用ダイヤモンドの購入についてお話しましょう
資産用のダイヤモンド 非常に興味深く拝見致しました。今、海外では(USA,EU,CHINA,UAE,HK,etc..)では資産運用(現物投資)として、注目を浴びていますが、日本においてはまだ馴染みがないようです。一部では少額ながら取引がされているようですね。レア・ダイヤモンドの動向に注意してみます。
返信削除匿名様コメント有難うございます。ご指摘の通り特に中国人の現物資産への投資意欲は大変なものがありますね。翻って日本、といより日本人のこの分野への関心はまだまだ低いものがありますが、それなりに富裕層の方は関心が高く、私も色々な形で関わらせていただいています。どうか次回もご覧ください、その辺の事情もお伝えできると思います。
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