2016年3月1日火曜日

ダイヤモンドのタイプと色



皆さんがご存じのように天然に産出するダイヤモンドのほとんど90%以上は、工業用の品質であり、残り僅かが宝石用の品質となります。
鉱山から掘り出された土砂4トントラック20台分からわずか1カラットほどの割合しか産出しない為、どこの産地も莫大な設備投資をし、大がかりな採掘をしなければなりません。1カラット以上の大きなダイヤモンドに至っては更に少ない確率でしか産出しません。
そのようにして採掘される現場では、稀に大きくて高品質或いは非常にきれいな色を持ったダイヤモンドが発見され、話題となります。

ダイヤモンドというものは、いったいどんなものなのか、何故、様々な色を持ったダイヤモンドがあるのか、
そんな疑問が湧くと思います。
これからお話しすることはその疑問に少しでもお答えできるものと思います。
ひいては間違いのないダイヤモンドを選ぶ為の一助となることを願っています。

ダイヤモンドは純粋に炭素Cのみで出来ている純粋な結晶であることはご存知の通りです。
しかしながら、そこに僅かな違いがあり、それにより輝きや色に差異が出来ていることは意外と知られていません。

実はダイヤモンドにはタイプ=型があるのです。
化学的に純粋かつ構造的に完璧なダイヤモンドは無色で完全に透明ですが、現実にはほとんどジェムサイズの天然ダイヤモンドは完璧ではありません。
純粋なダイヤモンドは完全に無色透明でありながら、格子間に不純物や構造欠陥を持つことにより着色の原因となります。(結晶に含まれるこれらの不純物が、光吸収に影響を与えることによります)
ダイヤモンドのタイプ赤外分光計により原子レベルで結晶格子の炭素原子、不純物などを測定、検出することにより決定するのです。


ダイヤモンドの色もこのタイプにより決まります。
ダイヤモンドのタイプは肉眼で見ても中々分りませんが、色は分ります。
そしてダイヤモンドは着色(色相と強度)の度合いに応じて、その価値が高まったり低くなったりします。
たとえば、ほとんどのホワイトダイヤモンドは黄色の色相がある場合、価格は安くなります
強烈なピンクやブルーダイヤモンド(例えばホープダイヤモンドなど)は劇的に価値が上がります
すべてのカラーダイヤモンドのうち、赤のダイヤモンドは最も稀で、有名なものは両手の指の数程、と言っても過言ではありません。
ダイヤモンドはスチールグレー、白、青、黄色、オレンジ、赤、緑、ピンク、紫色、茶色、黒など様々な色を持ちます。


この色はどうしてつくのか、
そこにはダイヤモンドのタイプというものが深く関わって来ます。
ダイヤモンドは科学的性質に応じて、2つの主要なタイプといくつかのサブタイプに分類されています
それでは、これからこのダイヤモンドのタイプ(型)と色についてお話しましょう。
 天然ダイヤモンドはしばしば単一の石の中に異なったタイプを持った混合物で、ダイヤモンドのタイプ(型)は、それらの化学的不純物のレベルや種類によって科学的に分類する方法です。

ダイヤモンドのタイプ
ダイヤモンドは結晶内に窒素を含むか否かにより2種類のタイプがあり、更にその中が2つのタイプに分類されます。つまり全部で
Ia
Ib
IIa
IIb
4種類に分けられす。

I型(窒素を含むタイプ)
I a型・・・窒素原子が集合体を作っているもの。大抵の無色から黄系(ケープ系)ダイヤモンドのがこれにあたり、最も産出の多いものです。
I b型・・・窒素原子が単独で存在しているもの。ファンシーインテンスイエローなどの濃い黄色系のダイヤモンドを生みます。

II型(窒素を含まないタイプ)
II a型・・・窒素やホウ素などの不純元素を含まない無色のダイヤモンドです。希少性が非常に高いタイプです。
II b型・・・不純元素としてホウ素を含むもの。電気を通す特異な性質を持ち、ファンシーブルーのダイヤモンドが属するタイプで有名です。希少性が非常に高いタイプです。

タイプIa及びIbは赤外吸収スペクトルにより決定することができます。
最も一般的なクラスのタイプIは一般的に不純物として0.1%の濃度で窒素を含んでいます。

Ia型ダイヤモンドは、すべて天然ダイヤモンドの約98%を占めています。
0.3%(3000 ppm)までの窒素不純物は、、炭素格子内比較的に広範囲にクラスター化し、この窒素クラスタの吸収スペクトルは青色光を吸収することによりダイヤモンドを淡黄色またはほぼ無色に見せるのです。
ほとんどのIaダイヤモンドはIAAIAB材料の混合物です。 これらのダイヤモンドは、以前から知られているダイヤモンドに富む領域にちなんで名付けられたケープシリーズに属し、南アフリカにあるケープ州に豊富に産出します。

Ia型ダイヤモンドは、N2N3窒素により強い415.5 nmの(N3)のメインバンドと弱くはあるが478 nmの(N2)、465nmで、452ナノメートル、435ナノメートル、423ナノメートルで吸収帯(ケープ・ラインを )を表示します
彼らはまたN3の窒素により長波長紫外線により、青色の蛍光を発します(N3は目に見える色を損なわない)
 ブラウン、緑、または黄色のダイヤモンドは504nmの吸収ラインを示します。時には、537 nmおよび495 nmの吸収ラインを伴うこともあります。
ブルーグレー色もIa型ダイヤモンドで発生し、ホウ素とは無関係な場合があります。

TypeaAは窒素原子がペアであり、 これらは、ダイヤモンドの色に影響を与えません。
TypeaBは窒素原子が偶数の集合体をなし、これらは、黄色から茶色の色合いをもたらします。

b型ダイヤモンドは全ての天然ダイヤモンドの約0.1%程しか産出せず非常に希少なものです。
 これらは、最大0.05%(500 ppmの)窒素を含むが、不純物がより拡散され、原子は結晶全体に分散されています。
そして窒素原子が、結晶全体に単独で存在(ペアリングまたはグループ化されていない)している場合は強烈な黄色または時折茶色の色合いを石に与えます(Ib型)。
希少なカナリアダイヤモンドはこのタイプに属し、天然ダイヤモンドのわずか0.1%を占めています。

(窒素を含むほとんどすべてのHPHT 合成ダイヤモンドは Ib型のものです)。

 彼らはまた、特徴的な蛍光性と可視吸収スペクトルを有します。
Typebダイヤモンドは青に加えて、緑色の光を吸収し、Ia型ダイヤモンドより強いまたはより暗い黄色や茶色の色を持っています。

ダイヤモンドは濃い黄色または時折茶色の色合いをもたらします。

タイプIIのダイヤモンドは、測定可能な窒素不純物がありません。 タイプIIのダイヤモンドは、タイプIのダイヤモンドとは異なり、赤外線の異なる領域で吸収し、225 nm以下の紫外線を透過します。
彼らはまた、異なる蛍光特性を持っていますが、識別可能な可視吸収スペクトルはありません。
結晶は形状が大きく、不規則でシャープな形で産出することが多く タイプIIダイヤモンドは、より長い期間非常に高い圧力下で形成されるのです
       
IIa型ダイヤモンドは、すべて天然ダイヤモンド(宝石ダイヤモンドの1.8%)の1から2パーセントを占めています。 これらのダイヤモンドは、ほとんどまたは完全に不純物を欠いていて、その結果、通常は無色であり、最高の熱伝導率を持っている

今年(2016年2月)になって、アフリカのアンゴラのLUCAPA鉱山(表沙鉱床)で発見され、話題となったダイヤモンドもこのタイプⅡaのものでした。
404.2カラット、Dカラー,Flawlessのこのダイヤモンドはアンゴラで発見された最大の大きさを持ち、1600万ドル(カラット当たり39,580 ドルで取引されたのです。
 
IIa型ダイヤモンドは結晶成長時の塑性変形が原因の構造異常により、ピンク、赤、または茶色に着色することができます
 します。IIa型ダイヤモンドはオーストラリアの生産の大部分を構成しています。
時折IIa型ダイヤモンドは、地球の表面に向かって押し出されている間、圧力および張力が成長時の塑性変形により四面体の結晶構造に不完全を生じさせ構造的異常を引き起こします
これらの欠陥が宝石に黄色、茶色、オレンジ、ピンク、赤、または紫色を付与したのです。
紫色のダイヤモンドは、結晶格子の歪みと高い水素含有量の組み合わせによって引き起こされます 
Typeaダイヤモンドは高圧高温(HPHT)プロセスによりその結晶の変形を「修理」し、ダイヤモンドの色の多くまたはすべてを削除することが出来ます。
タイプIIaダイヤモンドはオーストラリアの生産の大きな割合を構成しています。

現在はこのHPHT 処理されたダイヤモンドは刻印或いは鑑別により、厳しく管理され、消費者に告知することになっています。
CVDプロセスを用いて成長した合成ダイヤモンドは、典型的には、このタイプに属します。

IIb型ダイヤモンドは、すべての天然ダイヤモンドの約0.1%を占め、最も希少で高価な天然ダイヤモンドで優れた電導性を持っています。
 更にTypebダイヤモンドはTypeIIaと比べて窒素不純物は非常に低いレベルであり、代わりにホウ素不純物を豊富に含んでいます。 ホウ素の吸収スペクトルは、赤、オレンジ、黄光を吸収し、IIb型ダイヤモンドにライトブルーやグレーの色をもたらします。有名なものはホープダイヤモンドですね。最近ではJosephine of Bule Moonなどもこれにあたります。。
また低い量のホウ素の不純物は無色を示すこともあります。

*GIAラボ、ロシアのペテルスブルク企業が生産したHPHTによるブルーダイヤモンドを鑑別したと発表しました。
エメラルドカット、5.03カラットのタイプbとのことです。
また、HPHTにより作られた最大の研磨済み人工ダイヤモンドは10.02カラット、Eカラー、VS1の品質を持つもので、2015年に香港のIGIにより報告されています。    

天然ブラックダイヤモンドは、グラファイトなどの他の材料の微視的な黒またはグレーの介在物または硫化物および/または顕微鏡的亀裂によりによって引き起こされます。最近は放射線処理されたブラックダイヤモンドが安価に市場に多く出回っていますが、これらの多くは工業品質のダイヤモンドを処理したものです。

 少し難しいお話になってしまいましたが、ダイヤンモンドには色々な種類があるんだ,ということはおわかり頂けたのではないでしょうか。
そして、大きくて品質の良いもの、ファンシーカラーダイヤモンドなどが以下に希少なものであるか、ということはご理解いただけたと思います。
 現代は様々な方法で人工的にダイヤモンドが生産される時代です。また、様々な方法で天然ダイヤモンドに処理が施され、市場に出回っています。
ダイヤモンドに携わる業界はこぞってそれらの技術革新に対処する努力をし、情報の開示に努めています。健全なる宝石市場を守り、消費者の信頼を裏切らない為に頑張ってほしいと思います。

2016年2月25日木曜日

3)資産用ダイヤモンド~確実に入手するには

資産としてのダイヤモンドを確実に入手する、簡単そうで難しい問題です。
それでは、これからその方法についてお話していくことにします。

今まで、紹介してきました世界でも稀な超高額のダイヤモンドだけが資産用というわけではありません。
ダイヤモンドであれば、どのようなものであれ、市場価値があり、しかも確実に値上がりを続けています。
だからといって、どのようなものでも資産になるのか、というとそれも違います。
そこに希少性という要素が大きく関わってこなければなりません。
0.50カラット或いは1.00カラットのダイヤモンドを所有していたとします。品質は、Gカラー、VS2,エクセレントカット。
このダイヤモンドは10年前に購入し時より数十%は値上がりしていることでしょう。
仮にこれを手放そうと考えた時、果たして今の市場価格ですぐに買い手が現れるでしょうか?
しかも、購入した場所は一般の小売専門店やデパートであった場合 、手放す時には購入価格を大きく下回ることになるのが通例です。
もちろん個人的に欲しい方に譲る場合は、今の一般小売価格より安くしてもそれなりの対価を得ることはできるかもしれませんが、そのような不確実な前提では、資産用ダイヤモンドとは言えませんね。
更に、先ほど既述したような品質であれば、代替え品は数多く市場にあり、希少性という観点からも全く魅力はありません。
では、どんなダイヤモンドが資産用としての特質を備えているのか?
逆にいえば、どのようなダイヤモンドを購入すれば良いのか・、ということになります。

何といっても大前提は、「希少性」と「美しさ」の2点の条件を満たしていることです。

では、どんなものが望ましいのかというと、

*資産用ダイヤモンドとしての備えるべき条件
1)重量 1.00カラット以上
2)Dカラー
3)FlawlessまたはInternally Flawless
4)Excellent またはVery good cut(Round Brilliant cutの場合)
5)透明度の高いもの(TypeⅡaのような)
6)蛍光性を持たないこと
7)GIAによる品質分析(鑑定書)証明があるもの
という条件が必要となります。

つまり高品質であり、非常に希少性があり、その品質が信頼できる第3者の品質分析を得ている、ということになります。

これで、どんなダイヤモンドを所有すれば良いのか、ということはお分り頂けたと思います。
では、このようなダイヤモンドをどこで購入するのか、言いかえればどのようにしたら入手できるのか、という問題になります。

*入手方法  


「資産用としてのダイヤモンドを購入するということは、通常の手段では難しい」

ダイヤモンドといえば、一般の方が目にするのは金やプラチナなどの貴金属を使用してデザインされたジュエリー=リングやペンダント、ピアスなど=です。
資産用として保有するには出来る限り、これらジュエリーに加工されたものでない、ダイヤモンドのみのもの=専門家や業者の間ではこのことを、裸石、あるいはルース(Loose stone)といいます=が望まれます。なぜならば、貴金属やジュエリーにする為の加工費などが含まれないダイヤモンド本体のみの価格であるからです。
このルースを入手する、というのは簡単そうですが、一般の方には難しいことと思われます。
なぜなら、デパートや専門店に行ってもルースを展示して販売しているところはないからです。
日本でいえば、東京の御徒町の業者向け卸取引専門の店舗などに行けば、見ることはできるでしょう。
友人や知り合いに頼んで、そのような卸専門の店から購入することもできるかもしれません。
しかし、資産用としての資質を備えたダイヤモンドとなると、御徒町といえども、どこにでもある、というわけにはいきません。
高額になる為に在庫として保有する、ということも資金的に難しいこと が最大のネックとなるからです。
 私の経験をお話しましょう。
長いダイヤモンドビジネスの中で、年に1度ならず大きなダイヤモンド、例えば5カラットのDカラーのダイヤモンドが無いか、というような問い合わせが取引先のA商社から来ます。ほどなくしてB商社からも同様な問い合わせが来ます。仲間のダイヤモンド専門業者からも同じような話が聞こえてきます。調べてみるとどうも話の出所は1ヶ所で某有名なデパートであったり一流専門店であることが分ります。
つまり、一人の購入希望者の話が回りまわってあちこちの商社経由でその取引先である我々のようなダイヤモンド専門業者にでまわる、ということになるのです、ひとつの注文が100個もの注文のような様相を呈してしまうのです。国内にはないが香港にある、とかアントワープにあるとか、話は国際的になることもあります。
要するに何を言いたいかというと、このような高額なダイヤモンドを自己の在庫として保有する、或いは出来るような資金的な余裕のある企業はほとんどといって過言でないほど無いのです。
ダイヤモンド専門の業者にとっては、非常に低いマージンしか望めない、場合によっては為替差損さえ出かねない競争下、いかにして資金を高回転させ、利益を確保するか、ということで精いっぱいですし、小売店にしても1つで○千万円にもなるものを在庫するほどの余裕はありません。それよりも低価格の商品を高回転で販売することで日々の経営の安定をかんがえることでせいいっぱいなのですから。
また、小売段階においては、どこも商社からの受託品=商社が商品を小売店に委託して販売してもらう方式=を活用することにより、在庫負担を抑え、在庫負担を軽くすることが多いのです。
商社は売ってもらわなければ、営業成績が上がりませんので、売れ筋の商品しか作りません。そうなると資金を食い、万人向けでない高額なものについては在庫するなどという冒険はできない、ということになるのです。

 大手商社が取引先の小売店の上顧客を招待してホテルなどで豪華な展示即売会を行っていますが、このときはまさに素晴らしい商品が展示され消費者の目を奪います。
一流ブランド、国内外の著名なジュエリーデザイナーの作品、海外から保税で取り寄せた高額なジュエリーなどです。
では、これらの商品はいつもこの商社が在庫しているものでしょうか?
はっきり言えば、そのほとんどは”借り物”といってよいでしょう。
大手商社の持つ信用力と販売ネットワークにより、販売先を探しているブランドやデザイナー、などなどが喜んで出品に協力するという訳です。
小売店にしても、日ごろ自分の店では見せられないような素晴らしい商品を顧客に紹介ー出来れば購入してもらうー出来るビッグチャンスですからーしかも在庫リスク無しでー大いに利用するということになります。
お客様は展示会の豪華な飾り付けや演出、商品、ホテルの食事などに
大いに満足し、その対価として何かしらの商品を購入して帰る、ということになります。 利益もしっかり価格に乗っていますが、経費も莫大にかかります。経費以上に利益が出れば誰もが満足するシステムといえます。

話が少し横にそれたような気もしますが、言いたいことは資産用としてのダイヤモンドを購入するということは、通常の手段では難しいということなのです。
では、どうすれば良いのか。

1)ダイヤモンド流通の出来るだけ川上の価格で購入すること

  ダイヤモンドの流通は以下のようになります。
   ダイヤモンド鉱山(Mine)ーー原石流通業者(Rough stone)ーー
研磨石業者(Polish)--ダイヤモンド専門商社(Dealer)--輸入業者ーー卸ーー小売店ーー一般消費者
これらの複雑なネットワークは永年の間に培われた経験をもとに構築されたものですので、中々この流れを変えるのは難しいのですが、近年では、DeBeersのような鉱山を所有している会社が直接小売まで行う、あるいは、研磨業者が直接小売店を展開する事例もでてきました。
 例外はあれ、肝心なことは、この流通のどこの段階の価格で購入するかです。
私たちが可能性があるのは、、このうちの研磨業者や専門商社ということになります。
いずれも、海外の会社となります。
ベルギーのアントワープ、イスラエルのテルアビブ、アメリカのニューヨーク、インドのムンバイ、ということになるでしょう。場合によっては香港やドバイなども入るでしょう。
これら各国にあるダイヤモンド取引所内にある信頼できる商社の協力を得て購入=輸入する方法です。
つまり日々刻々変化するダイヤモンド市場の業者取引価格で購入することが肝心です。
RapaportのチャートやWeekly reportを見るまでもなく、ダイヤモンド価格は日々変化しています。常に需給バランスと原石の価格動向、為替や国際情勢により0~3%ほどの変化をするのが常です。
ダイヤモンド輸入業者はそれらの 状況を見ながら、国内の取引先の要望する価格と照らし合わせながらダイヤモンドの買い付けを行うのです。時には顧客の要望や資金繰りの状況により、仕入れ価格が販売価格になることもあるでしょう、かろうじてその時点で為替が円高になり、それが唯一の利益というようなこともありますし、その逆も起こります。
この価格より安く購入するというのは、普通では出来ません。
原石の取引は莫大な資金力と特別な知識経験が必要であり、そこに参加できる業者も限られてくるからです。

2)どうしたら川上で買うことができるか

 誰もがベルギーやイスラエルのダイヤモンド取引所に行き、ダイヤを買うことなど出来ません。
ましてダイヤモンドをビジネスとし、ベルギーやイスラエルの取引所会員から招待状が無ければ中に入ることも出来ません。
仮に入ることが出来たとしても、どこで売ってくれるのか、どうしたら望み通りのダイヤモンドが手に入るのか、それが本当にいうような品質なのか、価格は適切なのか、そのほか云々・・・判断もつきませんね。

3)Gemologist Consultant(ジェモロジスト コンサルタント)の役割

 今まで述べたことを実現する為に役に立つ存在としてあるのが、Gemologist Consultantと呼ばれる人たちです(わたしもその一人ですが)。
有名なオークションでの入札や、高額なジュエリーなどを購入する際には必ずと言ってよいほどこのGemologiste Consultantが関わっています。品質はどうか、価格はどうか、などをこの専門家のアドバイスを得て入札に参加、購入の決定をするのです。
当然ながら手放す時にも同様に様々なアドバイスを得るのが通例です。
欧米では昔から一般的ですが、このGemologiste Consultantは、宝石に関する専門知識と豊富な技術経験を持ち、宝石やジュエリーに関してその専門の鑑識眼を生かして、主にジュエリーをビジネスとしている会社を始め、一般の方にも適切なアドバイスや援助を行う職業の人を言います。
当然ながら、大学の研究者とは違い、実際の市場の動向や取引の実情に見識ををもっていなければなりません。
また、販売することが目的ではない為に、自分のコレクション以外には販売する為の「在庫」は持たないのが原則です。
それはつまり、常に第3者としての公正性を持つ為です。
このビジネスは莫大な資金力を必要とします。企業はどうしても銀行などからの借り入れに頼らざるを得ません。在庫を持つということは金る負担が発生するということになります。一刻も早く販売し、利益を出し、資金を回収して次の商材=ダイヤモンド=を仕入れなければ、成り立ちません。当然ながら在庫を販売するというのが最優先の課題になります。
もし、Aさんが予算はこのくらいでこんなダイヤモンドが欲しい、と言ったとします。それを聞いた業者さんが要望のような商品を持っていれば良いのですが、無い場合は出来れば自分が在庫しているなかで、出来るだけ要望に近いものを勧めてくるでしょう。その方が色々と都合が良いからであって、決してAさんの為ではありません。
このように在庫を持っていると顧客の要望を全面的に聞き入れる公正性という点で危惧を生じる危険があるため、Gemologist Consultantは販売の為の在庫は持ちません。常に客観性と公正性を持って顧客の要望に100%応えるためです。

4)具体的にどのような流れになるのか

A) おおよその投下する予算を決める、或いは所有したいダイヤモンド を決める。
B) 信頼できるコンサルタントに相談する。
C) 要望を伝え、具体的な情報やアドバイスを得て、購入を依頼する。
D) コンサルタントは依頼に応じて、海外の商社に連絡。必要な場合は
現地に赴き、詳細な確認を行う。顧客が同行する場合もあります。
顧客の要望を十分に満たすことを確認したうえで、必要なデータを顧  客に連絡し、購入の承認を得る。
E) コンサルタントは自分の会社宛に該当のダイヤモンドの輸出を依頼する。=輸入代行
F) 顧客は、コンサルタントの会社にダイヤモンドの輸入代金及び輸入経費分を振り込む。
G) 現品が到着後、顧客はダイヤモンドを確認したうえで、所定の経費(実費精算)と手数料をコンサルティングに対し支払いをして、ダイ   ヤモンドを受け取る。

というのが基本的な流れになります。
価格の透明性、国債市場取引価格であることから、手数料や経費などの負担はすぐに取り戻せることになります。

 ダイヤモンドは短期的な投資商品ではありませんので、あくまで資産保全のひとつの手段として考えることが重要です。
もちろん長期保有が大前提となります。長期的には大きな利ザヤも期待できる手堅い資産となることはいままでお伝えしてきた過去の記事をご覧いただければ十分に納得されることでしょう。
しかも携帯性や秘匿性に優れ、品質が不変であるという優れた特質は他にはありません。欧米にはこのようなダイヤモンドを扱うコンサルティング会社は沢山あります。いざという時にはどこに行っても相談出来るという安心感もあります。

 金融が崩壊し、経済が破綻し、このブログでも言及したようにいつ戦争がおこり、ハイパーインフレ、資産凍結、預金凍結、銀行倒産などの事態が起きてもおかしくない状況に世界は進んでいます。
現金も金融商品も不動産も預金(海外の預金も含めて)一瞬で失う事態は過去に起きたのです。
一部の資産をダイヤモンドにというのは、世界の超セレブの例を見るまでもなく、賢い選択肢と思います。


 













 










2016年1月28日木曜日

2)資産用のダイヤモンド~確実に入手するには

 前回は一般的なダイヤモンドの流通と価格などについてご紹介しました。
今回は、サザビーズなどのオークションに出品、落札される「超」希少なダイヤモンドについて、です。


 昨年、サザビーズのオークションに出品され、香港の大富豪ジョセフ・ラウ氏が4850万USドル(今の為替で円換算すると56億7450万円)で落札した「ブルームーン」という12.03カラットのブルーダイヤモンドはどこで採掘され、どのような経過でラウ氏の手許に落ち着くことになったのか。

この1カラット当たり史上最高金額になったブルーダイヤモンドは、南アフリカのカリナン鉱山(Cullinann mine)で発見されました。原石の重量は29.62カラット。
鉱山会社が限定された業者のみ公開するオークションが2014年の2月に行われ、Cora International という会社が2560万ドルUSドルで購入したのです。

1)購入する前の最初にすることは、原石をチェックすることです。サイズを測ること、色の度合いや分布などを調べることが主な内容です。原石の専門家が要する時間はおよそ30分ほど。
 その後はこの原石からどの程度の大きさ、形、品質のダイヤモンドが仕上がるかを詳細に検討します。
研磨された時のプロポーション、色、透明度、もちろん重量をシュミレーションし、その市場価値をはじき出します。その為に本物の原石と同じレプリカを12個作成し、実際にカットしてみたりしました。
そして、購入してから5ヶ月の間あらゆる可能性に対し激論がかわされ、ついに結論が出たのです。そして生まれたのがCushion cut, Internally Flawless, Vivid Blue という最高のダイヤモンドが誕生したのです。それは[BLUE MOON]と名付けられたのです。

2)Cora Internationalが試算した原石のBid価格(競り価格)ですが、最初は2200~3200万USドル、最終的には2550万ドルとなりました。
情報によれば4000万ドルを下回る価格までなると予想されました。

3)問題はいくらで販売できるのか?ということです。当初は4000~4500万USドル(46億8千万~52億6500万円)と予測されましたが、結果的にはそれを上回る4850万ドルで落札されたのです。
落札したラウ氏の12歳の末っ子のジョセフィーヌの名前をつけ、ダイヤモンドは「ジョセフィーヌ ブルームーン」と名付けられたのです。
このダイヤモンドは、他の希少なダイヤモンドとともにジョセフィーヌに送られたということは以前ご紹介した通りです。

Cora InternationalでこのBlue Moonダイヤモンドに関わった全ての専門家は、言っています。
「このダイヤモンドに関われたことを非常に誇りに思う。一体これほどのダイヤモンドを手にする機会がどれほどあるのだろうか? おそらく2度とこのような機会はないだろう」

以上、詳しいカットの様子などは省き、Blue Moon Diamondのエピソード概略をご紹介しました。
このようにして希少なダイヤモンドは、しかるべきルートでしかるべき人の所有物になるということがご理解いただけると思います。
もちろん、これだけがすべてではありませんが、非常に端的な例としてご紹介しました。

ここで大事なポイントは幾つかあります。
このようなスーパーレアストーンの流通は、通常のダイヤモンドとは全く異なる、という点です。

1)ほんの一部の関係者のみが目にすることが出来、
2)ダイレクトに最終所有者の手に渡ることにより、
3)通常の流通ルートにある、業者や一般人の目に触れる機会は全くない、ということです。

*鉱山会社はしかるべく資金力と信用、そして知識技術をもつ会社を選択して、指定した日に原石を開示します。
*選ばれた会社は、原石の品質や研磨後の価値などを検討し、どういう販路が最も適切化を議論し、決定します。
今回の場合は、サザビーズのオークションに出品する、という選択をくだしました。
 *サザビーズの専門家はこの品を厳密にチェックし、永年の経験とオークション実績、現在の経済状況などに基づき、適切な予想落札価格を弾きだします。
そして、自社の媒体を通じて広報するとともに、有力な顧客に連絡をします。
このようにして、オークションが行われる、というわけです。

勿論、品質の鑑定には、GIA(Gemological Institute of America)による最も信頼度の高い品質チェックが必須となります。
そして、全ての段階においてそれぞれのエキスパートが関わり、落札においても同様に
プロの助言が非常に大事なこととなるのです。
落札者(最終所有者)は、オークション会社に支払う手数料、アドバイザーとしてのGemologist Consultant に支払う手数料や諸費用が別途必要となるので、実際には
落札金額+??% のお金がかかることになります。

さあ、それでは次回いよいよ安全かつ確実な資産用ダイヤモンドの購入についてお話しましょう


2016年1月26日火曜日

1)資産用のダイヤモンド~確実に入手するベストな方法

 このブログをご愛読いただいている読者の中は、資産の一部としてのダイヤモンドの保有に少なからず関心がある方、或いはダイヤモンドビジネスに関わっている方、そして資産運用の専門家の方などが主たるものと思います。
私の拙文にも関わらず、世界各地よりアクセスしていただき、貴重な情報やコメントなどもいただき、心より感謝申し上げます。

 今まで、希少なダイヤモンド=資産価値の高いダイヤモンドの紹介や資産としてのダイヤモンドを所有することの意義、そしてその裏付けとなる様々な客観的なデータをご紹介してきましたが、いよいよ実際に「資産としてふさわしいダイヤモンドをいかにして入手するか」、ということについて触れてみたいと思います。

これからの説明は少し長くなりますが、本質に関わることなので、ご辛抱ください。

先ず最初に具体的な方法についてお話する前に、一般のダイヤモンド、ダイヤモンドジュエリーの流通や価格などについて知っておく必要があります。

通常皆さんがダイヤモンドのみをご覧になる機会はほとんどありません。目にするダイヤモンドは大概がダイヤモンドを使用したジュエリー=リング、ペンダント、ネックレス、】ピアスなど=を、デパートや専門店、或いは通販(雑誌やネットショッピング)で、ということになります。
言うなれば、流通の流れの最も川下に当たる段階ということです。

1)ダイアヤモンド鉱山の会社はほとんどがユダヤ系の会社が所有し、それらの鉱山会  社をサポートする金融機関もユダヤ系で占めています。
2)そして採掘された原石を売買する会社、仲介するブローカー、
3)研磨する会社、
4)研磨されたダイヤモンドを売買する会社、仲介するブローカーのほとんどはやはりユ ダヤ系で占められています。今はインドがその一角に食い込み、多大な影響力を持つ に至っていますが、基本構造は既述の通りです。

つまり、資源としてのダイヤモンドの基本となる部分はユダヤ系に完全に抑えられている、ということになります。

 かって日本の商社が原石の売買や研磨などに進出しましたが、今はその分野は廃止、或いは縮小するなど、影響力はほとんどありません。
ユダヤの持つ強力なネットワーク、金融力、血縁の強い結束、そして長い歴史にはおいそれとその一角に食い込める余地はない、と言えるでしょう。

日本国内のダイヤモンド商社やジュエリー業界の会社は、せいぜい、研磨されたダイヤモンドを買い付けに行く、または、国内にある海外の会社の支店(営業所、子会社など)からダイヤモンドを買い付ける程度のポジションにあるのです。
それから先のことは、色々な流通の形があると思いますが、ジュエリーショップの店頭、通販のショップで一般の方が目にするまでには、いくつかの段階を経なければなりません。
ダイヤモンドのみの価格でいえば、上記4)の段階のところから日本にはダイヤモンドが輸入されているということになります。
このときの価格を100とすれば、ジュエリーの加工されて店頭に陳列された時のダイヤモンド本体の価格は、相当に流通経費が乗った価格ということですね。
これはどの商品でも同様ですが、10倍とかいうとそんな高い価格にはなりません。
せいぜいその何分の一ということでしょう。
そしてカラットの小さなダイヤモンド、例えば、0.10~0.20カラット台の大きさのダイヤモンドでしたら、リングなどに使用した場合は、ダイヤモンドの価格よりプラチナや金、そして工賃の占める割合の方が高いのがほとんどです。
価格構成比でいえば、ダイヤモンドリングというよりダイヤモンド付きプラチナ(あるいはゴールド)リングというのが正しいかもしれませんね。

ブライダル用の比較的高品質のダイヤモンドで0.30カラット以上になればダイヤモンドの価格に占めるウエイトは高まります。
むろん1.00カラット以上になれば、その比重はぐんと高まります。
しかし、一般の店頭でみる価格はかなり付加価値がついた価格=行って見れば素材の価値+流通経費(利益)=になってしまいます。
いつ売れるか分らない商品ですので、小売店の抱えるリスクも高く、当然ながらマージンもそれに見合ったものとなる為です。
価格はそれが同業他社や国際相場に照らして適正なものである限り、当然のものであります。
消費者はそのおかげで色々なジュエリーを見比べることが出来、自分のお気に入りのひとつを入手することができるのですから・・・・。
そんな普通なジュエリーが数十年の年月を経て何十倍にもなったというエピソードをご紹介したこともありました。
ダイヤモンドも金もプラチナも年月による腐食や変質は起こさない、希少な物質です。
したがって、何十年の時を経ようがその価値は高まることこそあれ、下がることのない
格好の証といえましょう。
曾祖母、祖母、母親などが持っていたジュエリーを買い取りに出したら、思いも及ばない高価格で引き取ってもらえた、などという話はあちこちで見聞きしますね。
永年の間、楽しんで心の生活を豊かにしてくれたジュエリー、使わなくなったジュエリーがいざという時にお金になる、そんなものは他にはなかなか存在しません。
これこそが優れて特異なものといえ、資産としてのダイヤモンドに通じる根本的なことではないでしょうか?

さて、ここまでが序章、これから本題に移っていくことにします。
次回は、オークションなどで話題になるレア(希少)ダイヤモンドについてお話します。